札幌市・函館市の介護施設|医療と介護の融合を実現する白ゆりグループ「メディカルシャトー」

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海外現場の視察&研修

2011年度 北欧社会研究会 福祉研修デンマーク
(9月12日〜9月19日)デンマーク・オーフス市を中心に

スケジュール

9/13(火)

9:00~9:45
オリエンテーション
10:00~12:00
オーフス市の行政サービス
13:00~15:00
ローカルセンター・プレゼンテーション
15:00~16:00
オーフス市アルツハイマー協会
16:00~17:00
アルツハイマー協会との会合
18:00~
夕食会(質疑応答など)

9/14(水)

9:00~9:45
オリエンテーション
10:00~12:30
オーフス市福祉用具プレゼンテーション
14:00~16:00
認知症コーディネーター(ケアマネ)
15:00~16:00
オーフス市アルツハイマー協会
18:00~
夕食会(質疑応答など)

9/15(木)

9:00~11:30
カリタス(施設)見学
13:00~16:00
障害者グループとのミーティング
18:00~
夕食会(質疑応答など)

9/16(金)

9:00~10:00
オーフス市から、ラナス市(人口6万人)へ移動
10:00~12:00
ラナス市予防リハビリ健康センター訪問
16:00~
コペンハーゲンに移動(飛行機にて)

9/17(土)

コペンハーゲン観光
(人魚の像、アマリエンボー離宮、ゲフィオンの噴水、福音ルーテル教会の聖母教会、市庁舎など)

9/18(日)

12:00チェックアウト⇒15:45コペンハーゲン発

9/19(月)

9:35成田空港⇒11:00羽田空港⇒15:40千歳空港(総移動時間:18時間)

9月13日(火)

オリエンテーションオーフス市の 行政サービス(ドルス副市長の話)

今回のデンマーク研修、前半の3日間はオーフス市にあるスカンディックホテルに滞在。
ホテルの会議室にて、ガイド役のオーフス市在住35年の片岡豊さんのご挨拶の後、オーフス市の現状や、この1週間の研修の流れについてのご説明がありスタートしました。

オーフス市の行政サービス (ドルス副市長から)

デンマークの総人口は、550万人。今回の研修先のオーフス市は、2番目に大きく、人口31万人の都市。31万人の中60歳以上が、47,000人以上おり、その方々は在宅ケア(訪問ケア)をうけていたり、市から住宅政策として4,000世帯程の住宅(ケアハウス)提供をうけて生活をしています。その他に、介護の補助器具や健康促進・予防などにも注力しています。

福祉地域としては13の地域に分かれていて、オーフス市は38施設のローカルセンター(高齢者施設)があり全て「国・市」で管理運営をしており、ローカルセンターで働いている7千人の職員は皆、公務員です。
デンマークの福祉業界は全て公共機関での運営であり、日本みたいに営利法人での展開は1つもなく、参入しようとする企業もないのが現状です。

9月14日(水)

オーフス市福祉用具センターにて工場見学 認知症コーディネーター(ケアマネ)

市内で使われている補助器具(車椅子、歩行器、電動ベッド等)は、全て市の所有物となっていて利用する判定は、大半がOT・PTで一部看護師が入り決定します。

補助器具センターには、利用者が死亡したり、器具が壊れたりして、不要になったものが集まり、それらを修理や調整などをし、また以前のように使用できるように、修復設備が整っており、消毒に関しても65度の温水にて強力な洗浄機で、12分間洗浄する機械も設置されています。

そして使えるようになった器具は、新たに必要としている利用者へ無料で貸し出されるという仕組みになっており、注文を受けほとんどが翌日には、利用者に届く形態になっています。

リサイクル再生法のようなシステムが構築されています。

認知症コーディネーターとの 交流@ディメンズカフェ

2003年に市が「誰にでも利用できるカフェを作ろう」と決議され、施設敷地内で、主に若年性認知症者、およびその家族が気軽に利用できる大きなカフェが建設され、その併設型ディメンズカフェを訪問しました。
誰でも入店でき気軽に利用できるようになっているため、主に若年性認知の方とその家族が利用しています。スタッフは、本人・家族からニーズを把握し、利用者の生活に関してアドバイスしていくのを仕事としています。

9月15日(木)

カリタス(重度認知症施設)見学 “カリタス”(施設)見学 (利用定員98名、介護職員24名)

この“カリタス”という施設で働く場合は、他の施設で経験があったとしても、カリタス独自の研修を受け、カリタスのケアの方法を学ばないと、この施設で介護に従事することはできないという決まりがあります。その理由は、かなりの重度の高齢者施設となっており、チーム連携が重要で、ドクター・看護師・OT・PTも常駐しています。

(1)高齢化に対して、介護スタッフの離職、入職はどうか?具体的に何%なのか?
オーフス市で現在は7,000名のスタッフがいる中、ほとんど約5割のスタッフが1つの施設で長く勤めることが多く、福祉業を辞めて他の仕事に就くことは8~9割ないとのこと。一度、福祉業に就いた人は給与面もあまり悪くないため、ほとんどの人が離職せずに、仕事を続ける方がほとんど。
あるとしたら、勤務地の異動や、自分自身のステップアップの為に福祉畑を動く事が大半とのこと。(看護師 → デイケア → 特養 → ローカルセンター 順不同 )
(2)国民の平均給与は?平均給与に対する介護職員の平均給与は?具体的に何%なのか?
国民の平均給与は2万8,000クローネ(¥470,120)。この中からもろもろ38%位税金が引かれ手取り給与額となっているとのこと。介護職員の平均給与は、2万~2万2,000クローネ(¥335,800)。同じくここから税金が引かれ、残りが手取り額となっている。(1クローネ16.79円)
(3)デンマークで、介護業界における課題は何か?

日本と一緒でスタッフの確保、社会的地位の低さ、給与が低いという認識がある。

2006年……35,000人
2009年……38,250人
2014年……45,000人
2020年……51,000人

高齢化は、進むが若い人たちが減ってきている。(少子高齢化)今後は税金面で納められる額が少なくなることが予想されるが、そこをどう回避するということが今後の課題である。

(4)現在、盛んに取り組まれている活動は何か?

市民にとって今後、安心して生活してもらうために、今の施設のハード・ソフト面や補助器具センターのレベルの維持もしくは、今以上を目指すことが今後大きな目標となっている。

説明の中、テクノロジーという言葉が多くでてきており、現在、いかに誰もが事故なく安全に介助できる補助器具の開発が盛んになってきており、高齢福祉課の担当者と介護の補助器具メーカーとのやり取りも多くなってきているとのこと。すべて税金でサポートされていて、担当者も条件に合った良い器具であれば、積極的に施設に取り込んでいることは良いが、これも追加の仕事となっており、負荷が大きい。(補助器具 = テクノロジー)

・介護認定者(市民)に合う器具
・現場のスタッフの意見を考慮し認定者に合う器具作り(要望、時間、費用をみながら問題を解決していく。)

日本では、そこには行政が積極的に入ることはない。日本国内は、あくまで民間で、各施設のスタッフ・利用者にメーカーが聞き取り、現場でこういう器具がいいのではという声だけをベースに開発を行っている。ここも一つの大きな違いと感じられた。

(5)日本との、保険の違いは?

日本でいう「介護保険」という仕組みはなく、すべて税金でまかなっているとのこと。60歳以上の国民の面倒は、すべて公共機関がみてくれると強い認識を持っている。施設に入居している人の個人負担は約60,000円のみである。トータルで18~20万かかるが、その不足分は、国が負担していることになる。

年間の福祉予算は、約55億円位であり、この予算の6割~7割が職員の給与にあてられている。残りは、施設の運営諸経費や、補助器具(ベッド・歩行器・杖・機械浴・健康支援、促進・・・・)これも必要と認定されればオーフス市から無償で提供されることになる。

まとめ

デンマークが福祉最先端国であるという意味が、この研修を経てよく理解できた。
高い税金を払う見返りが、自分の一生涯の保障となるこの国のシステムに全国民が共感し、協力する体制が構築されていると感じた。

今回の、ガイドの片岡豊さんが「子供には本当にお金がかからなかった」と言っていました。デンマーク人は、60歳以上になったら公共機関が面倒を見てくれるという認識が強いというか、それが当たり前と小さい時から育てられているのです。

・大学までの学費無料
・医療費も無料
・医療器具、介護補助器具無料

税金が値下がりすれば喜ぶのではなく、「なぜ値下げをするのか!?」と不思議に思い、今までの歴史や政治がこの福祉国家を、作りあげてきたことは言うまでも無く、日本が同じ福祉国家を目指すのは、今までの歴史もあり、とうてい難しい話であるが、今後の日本も間違いなく福祉国家になっていく中で、日本でもデンマークに負けず・劣らず見習い、出来ることは何か?
それは「素敵な笑顔と、おもてなしの心」こそが、世界共通の成功の秘訣だと感じました。

  • 市民の縛りのない自立した生活!(市民=入居者)
  • 全ての権力を市民へと!
  • スタッフに笑顔と喜びを!(スタッフ=介護職員)
  • 常に市民と一緒に!

副市長が「デンマークが掲げている福祉精神なんだ」と上記4項目!を熱く語っていました。
特に、行ってみて施設の外観や中身、市の福祉に対しての取り組みなど、福祉におけるハード面・ソフト面の現状を実際に目で見て耳で聞くことにより、大変勉強になりました。

上記3に「スタッフの笑顔と喜びと」とあるがどこの施設に行っても皆本当に素敵な笑顔をしていたのを「どうしてなんだと!?」強く感じ、最後の懇親会の時に「どうして皆あんなに笑顔^^何ですか?」と質問した。その回答は、「私たち、お互いを褒め合っています!些細なことでも・・・」と。自分自身に置き換え、聞いて・教えて・褒めて・叱ってなどの人とのコミュニケーションの中で、職場に限らず家庭でも褒めることが最近少ないと考えさせられた。

「笑顔は万国共通である。笑顔が大切だ。」と社長が社員全員にいつも伝えており、その笑顔の大事さを改めて感じた。行政、会社のサポートばかり望んでしまう場面もあるが、現場で自分でできることから始めたい。笑顔を忘れず、誇りを持って、誠実に真剣に福祉の仕事に励もうと強く思います。

遠い福祉の先進国デンマークに行かせていただき、人間の基本中の基本は「素敵な笑顔と、おもてなしの心」であると確信し、今後も顔晴って(がんばって)行こうと自分に再確認した貴重な八日間でした。

※ちなみに「顔張る!」は、「笑顔を忘れず仕事をがんばる」という意味の、佐藤社長用語。

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