2018.09.01私生活について
チュッパチャプスのさくらんぼ味っておいしいよね
有料老人ホーム白ゆり美原
渡邉 直人
先日、うちのチビと函館美術館に行ってきました(※これを書いている現在は8月上旬)。
なんでもサルバドール・ダリの版画展が開かれているらしく、一緒に行かないかとチビに誘われたのである。
私はダリについて「チュッパチャプスのロゴをデザインした人」ぐらいの知識しかないのだが、せっかくの機会だしどれひとつ芸術的知見を深めようじゃないか、ということで行くことにした。
会場に着くとまあ見渡すかぎり絵が並んでいるのだが、なんとも珍妙な絵ばかりなのである。
溶けている時計の絵なんかはまだ有名だと思うが、それ以外にドレスを着た頭が薔薇の女とか、体の中が住居になってて足だけが骨でその足が異常に長い象とか(なに言ってんだと言われそうだが本当にこんな絵なのだ)。
それはそれは高尚な絵がそこかしこに飾られている。
その中で1枚、私とチビの心をグッと掴んだ絵があった。
それはダンテの神曲の挿絵で地獄篇の絵なのだが、ダンテが地面の穴から顔を出している亡者の髪を引っ張っているというもの。
横に貼ってある解説を読むと「ダンテは亡者に名前を聞いたが、亡者は口を堅く閉ざして名前を答えようとしないので、ダンテは亡者の髪を引っ張った。」と書いてあり、これを読むなりチビと二人して笑ってしまった。
それを踏まえて改めて絵を見ると、やたら神妙な顔をして髪を引っ張るダンテとこれまた後ろで困ったような顔をしてるウェルギリウス、そして髪を引っ張られて絶叫顔でにゅ~っと顔が伸びている亡者。
この三人の表情が最高に笑えるのである。
5分はその絵の前から動かなかったと思う。100点は超える作品を見てきたというのに正直これしか記憶に残っていないのはどうかと思うが。
ただただ「ほえ~」「すっげー」「アッチョンブリケ」という感想しか出てこないのが恥ずかしいがこれで良いのだ。
「この絵には知的な執着と無意識な執着が隠されている。」だの「これぞシュルレアリスムの極致、もう極致ったら大極致!」などの小難しい評論は専門家に任せておけばいいのだ、私たちはただスゲー絵を見て素直にスゲーと感じるだけで充分なのではないかと思うのだ、いや思いたい。思わせてってば。
ゲージツの秋といいますが、皆さんもぜひ今年の秋はホンモノのゲージツに触れてみてはいかがでしょうか。